コーポ南沢・54.45㎡・家賃70,000円。コアのある住まい

ぶっけんFOCUSファンのみなさま、お待たせしました。

2022年、最初にご紹介する物件は、新潟市中央区鐙3丁目にある「コーポ南沢」です!

ぶっけんFOCUS初登場の建物ですが、昨年ご紹介したコーポラス・リムから直線距離にして100m程の場所に位置しています。

上の写真はコーポ南沢の3階通路から見た景色ですが、コーポラス・リムが写真の中央付近に見えます。

まずはコーポ南沢について、ざっと概要をご紹介しましょう。

1979年に完成したRC造(鉄筋コンクリート造)6階建ての賃貸マンションで、築年数は43年(2022年6月現在)。計54戸の部屋が入っています。

まるでエーゲ海に浮かぶ島々の建築物のように白く輝く外壁が印象的ですが、2021年に外壁・共用部分の大規模修繕を経て、このようなきれいな外観に生まれ変わりました。

ちなみに以前の外観の写真を見ますと、壁の汚れやひび割れ、手すり付近の損傷、ドアの劣化などが見られ、築年数相応の佇まい…という感じです。

同じ場所を見比べてみましょう。次の写真がBEFORE。

その下がAFTERです。

この大規模修繕においては、共用部の照明の入れ替えも行われ、日が暮れると暖色系の光が心地いい雰囲気を演出してくれるようになりました。


新潟駅まで徒歩20分。買い物にも便利なエリア

立地はJR新潟駅まで徒歩約20分という距離。駅がとても近いというわけではありませんが、上越新幹線の始発駅でもある新潟駅に歩いて20分で行けるというのは便利ですよね。

頻繁に出張や旅行で首都圏に出掛ける人には特にオススメの立地です。

新潟駅周辺で飲んだ後もスムーズに家に帰れますね。

建物前に広い駐車場があるのも特長です。集合住宅では、敷地内に十分な駐車スペースが確保されておらず、少し離れた月極駐車場を借りざるを得ない…というケースがあります。

私もそのような賃貸に住んだことがありますが、吹雪の中を数分歩いて車に着いた時に、車のキーを部屋に忘れたことに気付き、半泣きで部屋に戻った…という経験は一度や二度ではありません。

ちなみにこちらの敷地内駐車場は1台5,000円と良心価格です。

駅が近いというだけでなく、徒歩圏内に大きな駐車場を備えたスーパーやドラッグストア、家電量販店や飲食店、コンビニ、100円ショップなどがずらりと並んでいるのも鐙エリアの魅力。

急に電球が切れても、トイレットペーパーがなくなっても、3種のチーズ牛丼が食べたくなっても安心です。

これだけ新潟駅に近い場所でありながら、郊外のロードサイドのような便利さを備えているのは鐙ならではでしょう。


空室率60%から10%未満へ

恵まれた場所にあるコーポ南沢。今でこそほぼすべての部屋が埋まっていますが、常に順風満帆だったわけではありません。2014年以前は6割以上が空室だったこともあるそうです。

そんなコーポ南沢を有限会社コーディネートが2014年に購入。まずは空室の部屋を最低限のリフォームだけして募集していったところ、徐々に空室率が改善。2015年には特に傷みが酷かった部屋のフルリノベーションも行ったそうです。

それから7年が経過した2022年。コーポ南沢で2件目となるフルリノベーションを実施しました。

「今回リノベーションを行ったのは301号室です。コーポ南沢の中でも1号室と2号室は人気のない間取りで、普通に修繕をしてもなかなか決まらないんですよ。それで今回空き部屋になった301号室を思い切ってフルリノベーションしたんです」と、有限会社コーディネートのリーシング課・猪野さん。


リビングの暗さを、センターコア方式で解決

今回のリノベーションのテーマは、タイトルにも入れている「コアのある住まい」。

「コアのある住まい」と聞いて、1950年代に建てられた建築家・故増沢洵氏の「コアのあるH氏の住まい」を思い浮かべた人は、かなりの建築オタクであることでしょう。

住宅建築における“コア”とは、トイレや浴室、キッチンなどの設備スペースを指し、それを住宅の中心にまとめることを「センターコア方式」や「コア構造」などと言います。

木造住宅では、コアの外周が耐力壁として機能するために堅牢な構造になることや、コア以外の空間の自由度を高められることがメリットとなります。

今回のリノベーション物件は、そんなセンターコア方式を採用した珍しいお部屋。ぶっけんFOCUSでも初めて紹介する事例です。

RC造のマンションにおいては構造的なメリットはありませんが、センターコア方式のユニークな間取りにご注目ください。

その前に工事前の平面図を見てみましょう。

元々の301号室の間取りは2LDKで、玄関がある北側にキッチン、南側のベランダに面して6畳間が2室、その中間にリビングと水回りがまとめられていました。

この部屋の課題は、リビングが最も自然光が届きにくい中央部にあることでした。

建具を外せば光を採り込めますが、垂れ壁が光を遮ってしまいますし、視線の抜け感も得られずどうしても窮屈に感じられてしまいます。

そんな課題を解決するプランが「センターコア方式」だったのです。

図面を見ると分かりやすいですが、センター部分に四角い箱を組み、その中に浴室、トイレ、キッチンをまとめています。玄関側の面には収納スペースも備えています。

そして、それ以外は仕切りのない大きなワンルームで、コアをぐるりと一周できる構成です。

では、玄関前から順番にBEFORE・AFTERを見ていきましょう。


オフィスにもなる土間リビング

まずは玄関のBEFORE。

キュッと絞られた最小限の玄関土間に、昔ながらの下駄箱が据えられていますね。

その空間のAFTERがこちら!

玄関土間が一気に拡大しました。すぐ左側にあった壁が取り払われたことで、視界が広がるようにもなりました。

この土間を奥から見てみましょう。

レトロなクッションフロアが張られたキッチンでしたが、ここからキッチンを撤去。吊り棚やタイル壁など、昭和の香り漂うものは全て解体され、ラフな土間空間に生まれ変わりました。

天井からはインダストリアルな趣きあふれるスチールのランプシェードが吊り下げられており、かつてのプロペラファンの換気扇があった場所には、新設されたキッチンからのダクトが伸びています。

「近年キャンプなどのアウトドアを好む人が増えていますが、道具のメンテナンスなどがしやすいように土間を広く設けました」と猪野さん。

キャンプや自転車、スノーボードやサーフィンなどさまざまなアクティビティの道具のメンテナンスに対応できますし、DIYをするのにも便利なスペースです。

ソファとローテーブルが置かれていますが、靴やサンダル履きで過ごすことで、カフェのような非日常感が得られそうです。ゲストも気軽に訪問できそうですよね。

自宅で仕事をする人が増えている今、この土間スペースをオフィスにして、オフィス兼住居として使うのも良さそうですね。

コア部分の壁や収納扉は全てモルタルで仕上げられており、そこがまた非日常感を高めてくれます。


プライベートゾーンとパブリックゾーン。その間にキッチンを挟む

以前は玄関側に設置されていたキッチンですが、リノベーションを経て中央部分に新しく設けられました。

構造上、窓から遠く光が入りにくい点は大きく変わらないですが、両サイドの空間との連続性が強まったことで窮屈さが解消されています。

ハウステックのキッチンは1,800mm幅でそれほど大きくはありませんが、2口コンロにグリル付きで、使い勝手のいい機能がまとめられています。背面の壁に作業台を置けば作業性を高められそうです。

土間側がパブリックゾーン、奥側がプライベートゾーンという空間において、キッチンという中立的な場所がその間のバッファーゾーンになっているというのもポイント。

このトンネルのような通路兼キッチンを行き来することで、プライベート⇔パブリックの切り替えが無意識にできるのだと思います。

土間で過ごしているゲストと会話をしながらお茶の準備ができますし、夜中に喉が渇いて目が覚めた時、冷蔵庫の飲み物を取りに行くのもスムーズ。そんなメリットもあります。


贅沢に過ごせる12畳の寝室

さて、お次はベランダに面したプライベートゾーンです。

以前は6畳の部屋が2部屋並んでおり、ふすまや垂れ壁で窮屈に感じられましたが、その2室を一体にすることで明るく開放的な空間に刷新しています。

この空間にソファやダイニングテーブルを置くのもよいでしょうが、あえてあれこれ置かず、シンプルに約140cm幅のダブルベッドを真ん中に置いているのが粋ですね。

これによりホテル感が高まり、リラックスした時間を深く堪能できそうです。さらに大きいクイーンサイズ(約160cm幅)でもいいかもしれませんね。

建物のすぐ向かいに3階建てのマンションが立っているため眺望は望めませんが、ブラインドからの光が心地よく差し込んできます。

ブラインドは窓回りをすっきりシャープに見せる効果があり、スマートな印象をつくり出します。

古材のような床が張られていますが、これは昨年のコーポラス・リム508号室でも使われていた長尺のフロアタイルです。

フロアタイルのメリットは、なんといってもその耐久性の高さ。この製品は店舗でも使われるもので、靴を履いたままでの使用に耐えられる頑強さを備えています。

クッションフロアにソファや家具を置くとその部分が凹んで跡になりがちですが、フロアタイルならその心配も大きく軽減されます。借主、貸主の双方にとってメリットがあり、退去時のトラブルを抑えられるフロアタイル。ぜひ多くの賃貸住宅で使ってほしい建材です。

コーナーから見た部屋の全景のBEFORE・解体時・AFTERがこちら。

中央のコア部分が、手前と奥の空間を見事にセパレートしているのがよく分かりますね。

ベッドの後ろの壁にガラス窓が付いていますが、こちらの中はというと…

ユニットバスになっています!

集合住宅のユニットバスは窓なしが多いですが、このような小窓があることで閉塞感がやわらげられますね。

エアコンで乾燥しがちな冬は、この窓を開けることで加湿ができそうです。

クローゼットはラーチ合板を組んだ造作で、左側は3段の棚、右側はハンガーバー付き。1~2人暮らしにはちょうどいい大きさではないでしょうか?

室内は暖色系の照明で、夜の雰囲気も良い感じ。

プロジェクターを置いて壁をスクリーン代わりにし、ベッドで映画やYouTubeを見て寝落ちする…という週末の夜の過ごし方も良さそうです。


モルタルと裸電球。男前過ぎる洗面台

最後に洗面スペースを見てみましょう。

現しにしたコンクリートの壁に、モルタル仕上げの造作洗面台。工業系レセップソケットの電球が付いたこの空間は、この部屋の中でもっとも無骨で男気にあふれています。

日中の雰囲気もいいですが、電球が煌々と光る夜もいいですね。

40数年前に大工さんが付けた墨出しの跡が、40年の時を経て表側に現れています。

この洗面スペースは入口に近いため、帰宅後すぐに手洗いをするのにも便利です。そして、そのすぐ背面にはトイレもあり、水回りがコンパクトにまとめられています。


リノベーション工事中に契約完了

今回のコーポ南沢301号室。いかがでしたでしょうか?

実はこの部屋は、募集を掛ける間もなく、工事中に契約が決まってしまったそうです。オーナーである有限会社コーディネートとしても、広告のコストを掛けず、空室期間をつくらずに契約につなげることができています。

ちなみに、リノベーション前のこの部屋の家賃は5.3万円でしたが、現在は7万円と1.7万円高くなっています(駐車場は別途1台につき5,000円)。

しかしながら、供給過剰である新潟市内の賃貸住宅市場において、他と同じような部屋を提供しても、築古物件ではなかなか勝負しづらいのも事実。家賃を安くしても部屋が埋まらない集合住宅は少なくありません。

そんな時代に多少家賃が高くても求められるのは、万人受けを狙ったものではなく、ごく一部の人にだけ強く刺さるテーマ性を持ったお部屋なのでしょう!

コアのある住まい。

それは、他の部屋より家賃が1.7万円高くても選びたくなるお部屋なのでした。

今後もぶっけんFOCUSでは、有限会社コーディネートが手掛ける賃貸リノベーション物件を中心に紹介していきます。

ただ、記事が公開される頃には既に入居者が決まっていることもあるでしょうから、こちらで紹介される物件を狙っている方は、WEBサイトで最新情報をぜひ小まめにチェックしてくださいね!


写真・文/鈴木亮平

ぶっけん FOCUS

新潟市中央区弁天橋通の不動産会社「有限会社 コーディネート」のWEBマガジンです。新潟市内のちょっと変わった面白物件の魅力を、住宅ライターが詳しく紹介します!