柳都大橋のたもとに佇む小さなビルが、DIYオッケーの賃貸住宅に

48年、新潟の歴史ある下町に立つ小さなビル

新潟市中央区礎町通5ノ町は、柳都大橋の新潟島側のたもとの小さなエリアです。そこに1969年竣工の小さな4階建てのビル「Mビル」があります。

↑礎町通から見るMビル。鮮やかなブルーの外壁が遠くからでも目を引く。

↑外壁は塗り替えられ、レトロさを残しつつもイメージが刷新された。

この年季の入ったビルの3階と4階には税理士事務所が入居していましたが、2016年末に退去し、2017年を迎える頃には空きビルになってしまいました。

4階建てのビルはワンフロアに1戸という構成で、2階~4階は各52.17㎡(15.78坪)。1階は少し小さい約20㎡(約6坪)です。

ビルの所有者は明治開発有限会社(新潟市中央区花町)。2017年に入り、同社はビルのイメージをがらりと変える、大胆なリノベーションを行いました。

今回取材に訪れ、明治開発の営業担当の泉京(いずみ けい)さんにお話をうかがいました。

「築48年という古い建物ですので、そのまま募集を掛けても問い合わせが来ることはありません。それにこのあたりは貸事務所のニーズが少ない場所でもあります。そこで、周囲の賃貸マンションよりも少し安い家賃としながらも、特徴のある賃貸住宅に造り変えることにしたんです」(泉さん)。


スウェーデンの国旗を思わせる外観

Mビルがあるのは信濃川と平行に伸びる礎町通沿い。ちょうど礎町通が柳都大橋にぶつかる袋小路に立っているため、ビルの前の車通りはほとんどありません。そして、ビルを目隠しするようにイチョウの木が立っており、穏やかで優しい雰囲気を醸し出しています。

↑柳都大橋から見る礎町通りとMビル。袋小路になった道路はちょっとした広場のよう。


外壁は明治開発のコーポレートカラーであるブルー×イエローで塗られており、北欧スウェーデンの国旗や、スウェーデン発祥の家具量販店を彷彿とさせます。

建物奥にある階段から、今回リノベーションが完了した4階へ向かいました。エレベーターがないため階段で上り下りする必要がありますが、毎日の運動量が増えて健康的な生活になりそうです。

↑建物奥にある階段室。


既存の税理士事務所の名残を感じさせる部屋

何度か踊り場を折り返してようやく4階に到着。玄関ドアを開くと、3方向から光が入り込む明るい室内が広がっていました。窓が少ない階段とのギャップもあり、驚くほどの開放感が感じられます。

↑玄関を開けた時に見える室内全景。目の前のパンチングメタルは目隠しでもあり、帽子やバッグを掛けるのにも使える。


床にはOSBと呼ばれる木質ボードが敷き詰められており、一般的なマンションとは異なるラフな雰囲気です。左側に見えるハニカム構造のレトロなパーテーションが空間を仕切っており、その奥は10畳の寝室となっています。天井は事務所でよく使われる石膏ボードですが、鮮やかな黄色で塗られ、空間を明るく彩っています。

↑ハニカム構造のパーテーションが目を引く。光を通すので圧迫感を感じさせない。


「実はこの部屋はなるべく元の事務所の状態を残しながらリノベーションしているんです。OSBの板を既存の床の上に敷き詰め、壁はコンクリートを塗装して仕上げています。なので、水回り以外はほとんど解体工事をしていないんですよ」と泉さん。

パーテーションで仕切られた寝室は、以前は税理士事務所の代表の部屋として使われていたそう。また、壁一面の本棚も事務所で使われていたもので、ここに専門書や資料が保管されていたそうです。そんな建物の歴史が感じられるのも、この部屋のユニークさとなっています。

↑壁一面の書棚は収納力たっぷり。見せる収納としてそのまま活用できる。


下町の風情と眺望の良さが醍醐味

この部屋の特長の1つが、3方の窓からの眺めの良さ。キッチン側の窓からは一直線に伸びる礎町通が眺められ、まるでこのMビルを起点に道路が伸びているかのようです。

↑料理をしながら礎町通の風景が眺められるのはMビルならでは。「ミニマルキッチン」というシンプルなステンレスキッチンを採用している。


リビングの窓からは柳都大橋と朱鷺メッセが望め、寝室の窓からは新潟島の下町の景色が眺められます。

玄関ドアを開けてしまえば、廊下の窓からも光と風が入り込み、さらに心地よさがアップ。最上階で人が通らないため、玄関ドアを開け放しておけるのもこの部屋のよいところです。

↑玄関ドアを開けておくとさらに風通しもよくなる。


それゆえに約16坪とは思えないほどの開放感にあふれており、夜になればきれいな夜景も楽しめます。

↑夜になると雰囲気が一変。下町風情がさらに味わいを増す。


ゆったりしたリビングにきれいな水回り

12畳のリビングは1人暮らしではぜいたくな広さで、2人でも快適に暮らせそうです。景色の良さも相まって、友人を招いてパーティーを開くのも楽しそうです。

また、築48年と聞くと、老朽化した水回りが心配になるところですが、浴室・洗面室・トイレは全て新しいものに刷新されています。

↑元は事務所だったのでユニットバスを新設。


DIYオッケー。自分仕様にカスタマイズしながら暮らせる

「ちなみにこの部屋は住む方がDIYで自由につくり変えることもできるんです。一応事前にご相談を頂いてからになりますが、基本的にはコンクリートの躯体部分に手を加えなければ自由に内装を変えてOKですし、退去時の原状回復義務もありません」(泉さん)。

まだ新潟では珍しい「DIY可」物件のため、見学希望者は少なくなかったそう。この4階の部屋は既に入居者が確定したので、次は1つ下の3階をこの夏の間にリノベーションを進めて行くのだとか。


信濃川リバーサイドが散歩コースに

ここまでMビルの室内を紹介してきましたが、周辺環境の良さも要注目です。

特に信濃川までわずか徒歩3分で出られるのがポイントです。川沿いの遊歩道は、散歩やランニング、夕涼みなどに最適で、毎日の生活に豊かな時間を取り込めます。

柳都大橋の入口がすぐそばにあるので、橋を渡って万代島へもすぐに渡ることができます。特にこの信濃川沿いは夕暮れ時の空の美しさが秀逸。これまでウォーキングやランニングをする習慣がなかった人でも、毎日外を歩いたり走ったりする習慣がつくかもしれません。

↑Mビルの対岸から眺める信濃川夕景。

↑暖色系の灯りがともる礎町の夜景も美しい。

そんなユニークな魅力にあふれたMビルですが、今回紹介した4階の気になる家賃はなんと5.5万円(3階も5.5万円になる予定。駐車場は別途近隣で9,000円~12,000円ほど)。

「新潟島のこのエリアには古い建物が多く集まっています。私たち明治開発はこのエリアで不動産業をやっていますので、今後もMビルのような古い物件の再生をしていきたいと思っています」と泉さん。

ちなみにMビルの1階と2階は事務所として貸し出す予定で、1階の家賃が4万円+消費税、2階は5.5万円+消費税とのこと。1階が例えばコーヒースタンドになったら、目の前の袋小路がとても素敵な公共空間になりそうですね。

2階は目の前にイチョウの木が眺められますので、オフィスはもちろん、静かに読書を楽しめるカフェなどにも向いているかもしれません。

築48年という歴史を背負い、今もなお高いポテンシャルを持つMビル。これからまた新たな歴史をつむぎ、街に活気をもたらす存在になるかもしれません。

そして、老朽化・空室化が進む新潟および全国の地方都市の築古ビル再生のモデルケースとなるかもしれません。

↑地図上でポイントされている「高橋ビル」が、現在のMビル。

写真・文/鈴木亮平

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