コーポラスリム・47㎡・家賃72,000円。ラワンの壁を愛でる男の隠れ家

「待ってました!」と叫ぶコアな読者の声が聞こえてきそうです。

ぶっけんFOCUSでは初めてとなる、新潟駅南口界隈…。そう、「駅南エリア」のリノベーション物件だからです。

はじめに、今回ご紹介する賃貸マンション「コーポラス・リム」の立地について説明をしましょう。

場所は新潟市中央区鐙1丁目16-13。

新潟駅近くにある東跨線橋と紫鳥線を結ぶ道路沿いで、マンションの向かいにはファミリーマート。徒歩5分圏内にはマツキヨ、セリア、イオン、TSUTAYA、ケーズデンキが並び、さらには、牛丼、ラーメン、カフェ、焼肉店など多様な飲食店があります。

新潟駅までは徒歩16分。ものすごく近いというわけではありませんが、新潟駅周辺で飲んだ後、酔い覚ましに歩いて帰るのに絶妙な距離と言えそうです。

新潟バイパス紫竹山ICまでは車で5分程度。国道7号線と49号線が交わる紫竹山ICは交通の要で、ここを起点に東西南北あらゆる方向へとスムーズに移動ができるのです。


老朽化が進んだ外壁と共有部を大規模改修

これ以上生活しやすい場所が新潟市にあるでしょうか?と思うくらい恵まれたロケーションですが、そんなマンションでも時の流れに抗う(あらがう)ことは難しかったのでしょう…。

1983年に完成したコーポラス・リムは今年で築39年。建物は内装・外装ともに老朽化が進み、築年数が浅い新しいマンションと比べるとどうしても見劣りするようになっていました。

6階建てで各フロアに9戸の部屋があり、合計54戸の部屋を持つコーポラス・リムは、1年前まではなんと20戸が空き部屋になっていたそうです。この恵まれた場所でありながら、空室率37%というのは意外ですが、設備や内装の老朽化が、不動産物件の魅力の低下に直結することを実感させられます。

「今年の7月に3部屋のリノベーションが完了しましたが、その数カ月前に外壁や共用部の大規模修繕を行ったんです。今は白く輝くきれいな外壁になっていますが、以前は全体的に傷みが激しく劣化が進んでいました」と話すのは、コーポラス・リムの不動産管理を行っている有限会社コーディネートの賃貸部管理課高橋さん。

↑BEFORE

どんよりした天気も相まって、全体的にくすんだ外壁が建物の古さを感じさせますが、大規模修繕により下の写真に生まれ変わりました。

日差しを受けて輝く白い外壁。左下に見える自転車小屋までピカピカになっています。

他の部分も違いを見てみましょう。

入口にあった古いポストは、すっきりしたデザインに刷新。これだけでマンションのイメージはガラリと変わります。

内部の壁もきれいに塗り直し、エレベーターも新調。天井の古い蛍光灯は撤去してダウンライトに変えています。

色褪せ錆びついた金属製のドアも塗装をやり直し、新品のように。

腐食していた手すりの付け根や玄関ドアも見違えるほどの美しさに…。

もう、ひたすら共用部を紹介したくなりますが、それでは部屋の紹介にたどり着きませんので、ひとまずこのあたりで終わりにしましょう。

共用部は自分の部屋ではありませんが、毎日帰ってくる建物がきれいな方が明るく前向きな気持ちで生活できるもの。BEFORE・AFTERを見比べることで、共用部の重要性がよく分かります。

「実際にこの大規模修繕を行ったことで、低グロスの部屋(面積が小さく家賃が安い部屋)から契約が決まるようになり、空室率が改善されました」と高橋さんは話します。


長らく放置された空き部屋を、「サブリース」で解決

少しずつ空室が埋まっていったものの、中には10年近く空き部屋になっていた部屋もありました。それらの部屋はしっかりと費用を掛けた大掛かりなリフォームが必要不可欠でしたが、高額な費用を掛けてもそれを回収できなければ大家さんが大きな痛手を被ることになります。

不動産業のプロではない大家さんがそこを見極めるのは難しく、それゆえに、何年も手を付けられず貸すこともできない状態になっていたというのが現実です。

その状況を打開し、好立地の不動産をしっかり活用して、大家さん・不動産会社・借主の三方がメリットを享受できるものにするために、前回のコーポタケショウと同じ「サブリース」という手法が取られました。

「今回、408・409・508の3室のリノベーションを行いましたが、私たち有限会社コーディネートが通常より安い金額でその3室を大家さんから借り上げ、私たちの負担で内装工事を行い、私たちの方で入居者に貸すという仕組みを取っています」(高橋さん)。

大家さんはリスクを負うことなく空き部屋を運用でき、入居者は利便性が良くユニークな賃貸にリーズナブルな家賃で暮らせるメリットがあります。この仕組みで最も大きなリスクを負うのは不動産会社ですが、利益を出しつつ良質な空間をつくるノウハウがあるからこそできる取り組みと言えます。


大胆に取り入れたラワン合板でイメージを刷新

では、これから3部屋のリノベーションルームを見ていきましょう。

まずは唯一の角部屋である409号室の図面をご覧ください。

玄関の位置はそのままで、水回りの位置はある程度固定。それ以外の間仕切りを大胆に取り払っているのが特徴です。

さっそく入ってみましょう。

ドア周りには通気用のルーバー、その下には牛乳ビン入れが付いており、築39年の歴史を感じさせます。

ドアを開くと見えるのがこちら。

ヘリンボーンのフロアタイルに赤みのあるラワン合板の壁や建具。壁には船舶で使われるマリンランプが付いています。

装飾のない共用廊下とのギャップに腰を抜かしそうになりますが、この劇的な変化こそがリノベーションの醍醐味と言えるでしょう。

下が同じ位置から撮影したリノベーション前の写真。

よくある中廊下が奥へと伸びています。既視感のある景色ですね。

玄関周りはゆったりと横にも広がっており、北側の窓から光がたっぷりと入ります。玄関横にドアが見えますが、こちらはトイレ。

トイレの奥の壁もラワン合板。本来は下地材として使われる素材ですが、最近は住宅や店舗の仕上げ材として使われることが増えつつあり、オイル塗装された上品な木目は下地材とは思えない味わいがあります。


しゃれたカフェやバーのようなカウンター付きキッチン

奥行方向に伸びるキッチンは対面型。

背面の壁にはシンプルな棚板があるのみなので、ワゴンやゴミ箱を置くことで使いやすいキッチンが完成しそうです。

キッチンの前はバーのようなカウンター。キッチンを覆うパネルには、正方形にカットしたラワンを張るという遊び心も見られます。キッチンを中心にぐるりと回れる回遊動線になっているのもポイントですね。

キッチンの天井にはダクトレールが伸びており、エジソンランプが3つ吊り下がっています。モルタルの壁を背景にぶら下がる照明。この空間には、こだわりのコーヒーやクラフトビールが似合いそうです。

ところで床に使われているフロアタイル、樹脂製だからと言ってあなどることはできません。45cm×7.5cmの長方形のフロアタイルを、無垢材を張るように一枚一枚張っているからです。

それゆえに、無垢材と同様に本物の継ぎ目が現れています。「神は細部に宿る」と言われますが、このフロアタイルにも何かが宿っているように見えてこないでしょうか?


壁やふすまを取り払うことで生まれた開放感

キッチンの奥はリビング。さらに奥には寝室が見えます。

一つながりの空間になっていますが、元々は下の写真のように6畳の和室が2部屋並んでいました。

ふすまや壁が多く、ふすまを外してもその上に垂れ壁が残る空間では、なかなかスカッとした開放感は得られません。

そこで、思い切って壁を取り払うことで、たくさんの窓からの光が室内全体に回り、さらには景色の抜け感も得られるようになりました。

こま切れだった和室、キッチン、個室までがつながる大空間。壁掛け式のテレビのすぐ奥に見える窓が、下のリノベーション前のキッチンの横に見える窓です。

写真を見比べると、どれだけ開放的になったのかがよく分かるのではないでしょうか?

北側の窓は一日を通して安定した光を届けてくれますので、暑い夏に嫌な日差しが入ってくることはほとんどありません。

下の写真は同じアングルですが、せっかくの景色を障子が半分隠してしまっているのがもったいないですね。

その逆サイドがこちら。

同じ広さの空間を全く別の雰囲気に変えられるリノベーションの力を見せつけられますね!

コーナーに立つと、この部屋の大部分を一度に見渡せます。

寝室の天井に張られた市松模様のラワンもこだわりのデザイン。ベッドに寝転びながら、まじまじと眺めたくなりそうです。


収納・水回りは1カ所に集約

ベッド横の引き戸を開けるとウォークインクローゼットがあり、荷物はまとめてそこに収納できます。

ハンガーパイプにたっぷりと服が掛けられるウォークインクローゼット。可動棚も付いているので、収納する物に合わせて自由に高さを変えることができます。

その隣の洗面脱衣室がこちらです。

サブウェイタイルに見えるのは、目地の凹凸までがリアルに表現されたクロス。浮遊感のある洗面台はPanasonicのC-LINEの中でもフロートプランと呼ばれるタイプ。シンプルで洗練されたデザインが特徴です。

ユニットバスはゆったりとした1416タイプ(浴槽の長辺が140cm)。

以上がこの409号室のリノベーションです。

気になる家賃は72,000円。コーポラス・リムの家賃相場が5万円台前半なので他の部屋より3割以上も高いですが、立地の良さと唯一無二の空間を考えると、むしろ良心的な家賃と言えるのではないでしょうか。


ムーディー過ぎる夜も見逃せない

ちなみにこちらの部屋、夜も素敵です。

金曜の夜、この部屋でBGMを流しながら、カウンターやソファでゆっくりとお酒を飲みながら過ごす時間。気の置けない友人や同僚と過ごすのもいいでしょうし、一人で気ままな時間を過ごすのも良さそうです。

「今回の3室は、前回のコーポタケショウと同様に、単身者がゆったりと暮らすことをイメージしてつくりました」と高橋さん。

4階からの眺望を楽しみつつ、リラックスした時間を味わう大人の一人暮らしがここで叶えられるでしょう。


広い土間と対面キッチンがある408・508号室

では次に、同じ間取りの408・508号室を一緒に見ていきましょう。

409号室との違いは、キッチンをバルコニー側へ向けた対面型にしていることと、玄関土間を横長に取っていること。それ以外はほぼ同じ構成になっています。

左が408号室、右が508号室の写真です。

玄関の幅を広げて明るさと広がりを確保しています。

玄関のすぐ脇にはトイレ。

408号室はシナ合板、508号室はラワン合板で仕上げています。

玄関ホールのドアを開けると、奥の掃き出し窓までつながる広い空間が現れます。

408号室はパーケット調のフロアタイル、508号室は長尺型のフロアタイルです。

こちらが寝室。

どちらも天井はシナ合板の市松模様。美しい目透かし張りです。

リビングからキッチンを見てみましょう。

キッチンの前面パネルはモルタル仕上げ。壁にはピクチャーレールがあるので、ギャラリーのように絵画を飾ることもできます。

一枚一枚表情が異なるラワンの板。

408号は黄色系が多め。508は赤色系が多めと、その違いも部屋の個性となっています。

キッチンは空間全体を見渡す対面型。

収納・洗面脱衣室・浴室は、仕様と配置共に409号室と同じ。

そして、最後に408号室の夜の内観を見て終わりにしましょう。

こちらです。

白い壁にプロジェクターで映像を写し、家で映画を楽しむのもいいですが、思い出の写真を仲間と見ながら時間を忘れて語らうのも良さそうです。

家賃は408号室・508号室共に70,000円。先に紹介した409号室より2,000円安い家賃となっています。

いかがでしたでしょうか?今回のコーポラス・リムのリノベーションルーム。

住む場所を固定する“持ち家”よりも、身軽な“賃貸”が好き。でも、ありきたりの賃貸では物足りない。そう感じている人は多いと思います。

今回紹介した3部屋は全て、“賃貸でもこだわりたい派”の皆さまの期待に応えてくれる希少な物件だと思います。

ちなみに、8月上旬に不動産サイトで公開されたこの3部屋は、8月下旬の時点で409号室・508号室が入居者確定済み。残すは408号室のみとなりました(※8月23日時点)。

また、このような大掛かりなリノベーションルームを家賃70,000~72,000円で借りれるのは、サブリース契約という仕組みがあるからこそ。そして、その前提としてマンションの築年数が古いことも挙げられます。

街に眠る築古賃貸マンション。それは、磨き上げればキラキラと輝くダイヤモンドの原石のようなものなのかもしれません。

通常のリフォームの何倍もの手間暇が掛かっているリノベーションゆえに、頻繁に今回のような部屋が市場に出回るわけではありませんが、ぜひまた新潟市内に新たなリノベーションルームが登場するのを楽しみに待とうではありませんか!

今回のように、この「ぶっけんFOCUS」で紹介される頃には既に募集が終わっているケースがあります。

最新情報を知りたい方は、有限会社コーディネートのWEBサイトや、SUUMOなどの不動産サイトをチェックしてみてくださいね。


写真・文/鈴木亮平

ぶっけん FOCUS

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